田口佳史ニュースレター Vol.1
【サンプル】

私の立つところ

初回に際して、私の立つところを述べておきたい。
私は飽くまでも、東洋思想を探究してきた者である。しかし、東洋思想を讃美し称賛しようとするものではない。況(いわ)んや押し付けるものでは全くない。
一方、近代西洋思想を批判し非難しようなどという気も全くない。
私は何よりも、「東洋と西洋の知の融合」を標榜し、その社会的実現を強く念願とするものである。
この場合の東洋と西洋といっているのは、地域的場所的なことを指しているのではない。東洋と呼ばれる地域の人々でも、近代西洋思想の信奉者は多勢いる。また西洋にも東洋思想を愛する人は多くいることだろう。
私がいっているのは信条とする思想哲学のことである。
同じ一つの地球上に住む人間が、差別し合い、対立し合い、闘争し、戦争にまでなって、互いに殺し合うことなど、絶対にあってはならないと祈願する。その心こそが、「東洋思想と西洋思想が持てる叡智(えいち)を出し合って、心の融合を進めること」の源泉である。
グローバルとは何か。
それは球体、地球を意味するグローブからきている。東洋と西洋二つの半球が一体となって初めてグローブになる。両者は実に最適な相互補完関係にあるパートナーなのだ。
これまで数世紀に渡って、西洋思想に地球の指針を務めて貰ったわけだが、21世紀からは、東洋と西洋両者の知慧を出し合って務めていこう。
では早速、東洋思想の提言を語りはじめよう。

 

第一回 「徳」について

「徳」は、東洋思想の根幹を為す概念である。
宇宙の大義にかなったものといわれている。
「宇宙の大義」とは何か。
宇宙を儒家では「天」というが、天には天としての“仕組み”や“きまり”がある。これらは順なる天の営み、例えば天は、天地創造以来一刻の休みもなく万物を「生成化育」している。これがあるからこそ我々は生まれ、生きていられるのであるが、こうした順なる営みは、天の“仕組み”や“きまり”があるからこそ続けられているのだ。
この“仕組み”や“きまり”を「法則」といい、「天の法(のり)、宇宙の法(のり)」という。
通常我々は、自国の法律に則(のっと)って暮している。反すれば罰せられる。この自国の法律の上位にあるのが、宇宙の法といえる。
時には自国の法律より、余程こちらの宇宙の法の方が、我々の人生、運命を左右することさえあるのだ。
宇宙の法に則ることを「宇宙の道理、天の道理」という。
更にいえば、道理に則った社会をつくり、道理に則った日常が守られるようにすることこそが政治の目的である。政治がいくら道理を貫ぬこうとしても、国民が道理が解からないというのでは貫けない。そこで教育が大切になる。したがって教育とは、道理を知らしむることなのである。
道理に反するとか、道理の通らぬとかいう社会は人間にとって、最悪であることを思えば、このことの重要さが理解される。
天の法を生み、天の道理に則って順なる営みを続けていることこそが…

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